ドイツの野球について現役監督が説明します Part5 (その他ローカルルール)

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(本記事は他のブログサービスで20205月に投稿した記事を改稿したものです)

第五弾になりました【ドイツの野球について現役監督が説明します】シリーズ。

バックナンバーは最後に貼っておくのでもしまだ読んでなくて興味がある方がいたら読んでみてください。

今回はもっとコアなローカルルールについて説明していきます。

例によって先に要点をご紹介すると

【外国人枠の他にスプリンガー枠というものがある】

【レギュラーシーズンを8試合以上出場した選手のみポストシーズンの出場権が与えられる】

71日以降は新たに選手登録できない】

今日ご紹介するのはこの3点です。早速説明していきます。

まず【外国人枠の他にスプリンガー枠というものがある】についてですが、外国人枠については本シリーズPart3で詳しく説明したのでそちらをご覧ください。

ドイツ野球ではシーズンが始まる前に選手登録をしなければなりません。

この選手登録というのは毎試合のロースターではなく、その年どのリーグでプレーをする選手なのかという登録です。

わかりやすく日本のシステムに置き換えていうとしたら1軍登録か2軍登録かということです。

クラブはシーズン開幕2週間前までに最低9人選手(12軍それぞれ最低9)を登録をしなければなりません。基本的にはシーズン中に変わることはありません。

じゃあ2軍の選手は1軍の試合に1シーズン出れないのかというとそうではありません。

2軍登録のまま1軍の試合に出場します。

なぜこのようなシステムを採用しているかというと、多くのチームが12軍の兼任選手をかかえているからです。

そのため1軍と2軍で20人ずつそれぞれ独立したチームを作ることは難しく、1軍と2軍それぞれ20人ずつベンチ入りの選手がいたとしたらそのうち10人は同じ選手で賄っているような状態が一般的です。

ここで意味を成してくるのがこの選手登録のルールで、1軍登録の選手は2軍の試合に出場することができません。そしてそのシーズン中に降格の登録変更はできません。つまりシーズン前に1軍登録した選手は1軍の試合にしかそのシーズンは出場することができません。

しかし2軍登録の選手は1軍の試合と2軍の試合に出場することができます。

そうなってくると、「1軍のレギュラー全員2軍登録にすれば1軍の戦力のまま2軍でも戦える」と考える勝利至上主義クラブがでてきてもおかしくないですよね?

しかしそうはさせないのがドイツ野球連盟です。

一軍の試合に出れる下部リーグ登録選手は1度に3人までという制限があります。

これがSpringer(スプリンガー)ルール(【飛び級者】制限)です。

今はわかりやすいように12軍という皆さんに馴染みのある言葉を使いましたが正確にはリーグ別に登録を行います。

ブンデスリーガ1部登録選手、ブンデスリーガ2部登録選手といった具合です。

このルールは12部のみに適応されるルールではなくすべてのリーグの選手に適応されます。

簡単にまとめると、『自分が登録しているリーグより下部リーグには出場することができないが、上部リーグには同時に3人まで下部リーグ登録選手は出場することができる。』

となります。

ちなみに上部リーグへのシーズン中の選手登録の変更は可能です。

次に【レギュラーシーズンを8試合以上出場した選手のみポストシーズンの出場権が与えられる】ですが、これは割とわかりやすい理由で、ポストシーズンというのは勝者を決めるプレーオフだけでなく敗者を決めるプレーダウンのことも指します。

プレーダウンの敗者は2部へ降格してしまいます。

そこでこのルールが適用されるのですが、簡単に言うと

2部降格を避けるためだけに補強することはみとめませんよ!」

ということ。あくまでレギュラーシーズンを戦った戦力で最後まで戦えってことです。

これまでのややこしいルールと比べるとかなりわかりやすいルールなのですが、注目すべきは「8試合以上出場した選手」の「出場の定義」です。

1試合出場したことにカウントされるのが

・打席に立った場合→ピッチャーの投球が完了すること

・ピッチャーとしてマウンドにあがった場合→投球が完了すること

・守備についた場合→そのポジションでピッチャーの投球が完了すること

ポイントは『投球』が完了すればいいのです。

一つ目と三つ目がよく使われるパターンで、レギュラーシーズン後半になると足りてない選手の出場試合数を稼ぐために1球交代がよく行われます。

よくあるパターンを例にあげると

~1回表~

主審「プレイボール!」

ピッチャー1投目「ピシッ」

キャッチャー「バシッ」

主審「ボール!」

監督「タイム!選手交代!」

試合開始早々このような場面に出くわします。

ルールを知らないと何が起こったのか一瞬わからなくなります。

これはドイツ野球ならではの風景かなと思います。

71日以降は新たに選手登録できない】

このルールは日本のプロ野球にもありますが日本の場合は期限は731日までですね。

ドイツ野球は日本より試合数が少なく、7月はシーズン後半というよりシーズン終盤にあたるので妥当な時期だと思われます。

このようにドイツベースボールブンデスリーガでは上下リーグ制を用いていることから、いくつかの独自のルールが存在します。そのルールの影響で他国リーグでは見ることのない場面を見ることになるのもある種の楽しみかなと思います。

他の国にもその国ならではの風景があるはずです。そういった違いも楽しんでもらえればと思います。

同シリーズのバックナンバーです。まだお読みになっていなくて、興味のある方はこちらからご覧ください。

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