バッターランナーの“逆走”という革命的なプレー

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こんにちは。ドイツトップリーグでプロ野球選手兼監督をしているかたやまかずさ(wataridorich)です。

 

今回は先日MLBで起きた前代未聞のプレーについて深く考えていきます。

 

Podcastでも配信していますので、ながら聴きでインプットしたいという方はこちらからお聴きくださいWataridori’s radio #120『バッターランナーの逆走という革命的なプレー』

 

バエズ選手の逆走

 

皆さん527(現地時間)のシカゴ・カブス対ピッツバーグ・パイレーツ戦で起きた前代未聞のプレーをご存知でしょうか?

 

カブスのショートストップ、ハビアー・バエズ選手がバッターランナーでありながら一塁本塁の方向で逆走したプレーです。

 

しかもその一連のプレーの驚きは逆走だけに留まらず、隙をついたセカンドランナーがホームベースへ生還し、得点に結びついたことです。

 

さらに、完全に乱された守備陣はベースカバーがおらず、再び一塁へ走り出したバッターランナーのバエズ選手が二塁まで到達しました。

 

この説明で理解できなかったというあなた。安心してください。映像があります。

 

その問題のプレーがこちら

 

こんなプレー今まで見たことありましたか?

 

ベンチではチームメイトが大笑いし、放送席も盛り上がっています。

 

メディアにも取り上げられ、SNS等でもかなり話題となりました。

 

そして多くのメディアやSNSハプニング珍プレーと表現していましたが、

 

ぼくはこのプレーをただの笑える珍プレーで終わらすのはとてももったいないと思いました。

 

今までにない選択肢を野球界に与えたプレー

 

ぼくは勉強不足で、バッターランナーが逆走していいとは知りませんでした。

 

ルールを確認すると「ホームベースまで戻ると守備を混乱させる行為として守備妨害でアウト」になるそうです。

 

その事実をバエズ選手が知っていたかどうかは分かりませんが、

 

バエズ選手はルールの中で相手のミスを誘い、得点と進塁を掴みました。

 

ではなぜ、得点と進塁につながったのか。

 

それは「単純に相手が判断ミスしたから」ということだけには収まりません。

 

「こんなプレー、ファーストベースマンがベースを踏めばいいだけ」

 

確かにそうです。

 

ですが、基本的にファーストベースマンはランナー(2塁・3塁)に背を向けたくないので、ベース前のゴロや逸れた送球ではタッチプレーを行います。

 

そうなるとバッターランナーはなす術がなく、自らタッチされに行くか、タッチしに来るのを待つというのが常識でした。

 

でも逆走してもいいと知った今、無抵抗にアウトになるという“常識”が覆りました。

 

今までなす術がなかったバッターランナーは、「タッチしたくなる距離で逆走する」というファーストベースマンとの駆け引きができるようになります。

 

さらに、逆走することによってファーストベースマンに「ランナーに背中を向けてベースを踏みにいくか」「逆走を追ってタッチしに行くか」の選択肢を与えます。

 

選択肢があるということは迷いと隙を生みます。

 

通常のランダウンプレーのミスも、「追うか」「投げるか」の選択に迫られミスすることがほとんどです。

 

しかも今回のケースは今までにない選択肢が突如として現れたのです。

 

誰もしたことない動きを目の前でされてみてください。

 

混乱するのも頷けます。

 

今までの“常識”と違う動きをしたから、先日のMLBの試合でも守備が対応できずに、失点と進塁につながったとぼくは分析しました。

 

このプレーを珍プレーで終わらすか、ここから学びを得るか

 

確かにこんなプレー滅多にないプレーです。

 

しかし滅多にないから無視していいのかというと、そうではありません。

 

バントディフェンス(ランナー2塁時のピックオフプレーなど)や二塁牽制のサインプレーなど、1シーズンに1度使うかどうか、というプレーに時間をかけて練習するチームもありますよね。

 

それと同等、いや、セットプレーではないので、皆の意識が変われば、それ以上に試合中に起こりうるプレーだとぼくは思います。

 

攻撃側はベースランニングのチームの共通認識にしていればチャンスになり得ます。

 

守備側もバッターランナーが逆走したらどうするか、チームとしての方針を決めておくことが必要です。

 

対策をしていないと予想外の動きに混乱し、ミスをする可能性も高くなるでしょう。

 

ぼくはこのようにバエズ選手の逆走から学び考えました。

 

このプレーから何も学ばないのも結構です。多くの人は珍プレーで終わるでしょう。

 

ルールの範囲内で進塁、得点の可能性をあげることができる選手は賢い選手です。

 

もしかすると、ここまで読んでもばかばかしいと思う人もいるかもしれません。

 

しかし同じものを見て学ぶ人がいるのであれば、学ばないのは愚かなことではありませんか?

 

“珍プレー”に見えても学ぶべきことはあります。

 

常識に捉われず、クレバーな野球をしましょう!

 

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